2008年7月24日 (木)

 色とりどりの光を見上げて 君は何を想い笑うだろう

 雲間に覗く月明かりと共に 僕は君を想い 声にならない声を吐き出すんだ

 「風よ吹け」 この揺るぎない けれど幼くも儚い心が

 舞い上がる光を纏わせ わずかでも君のもとへと 届くように

 大げさな夢や言葉は ほとんど僕は持っていないけれど

 あるがまま握り締めた 誇るべき想いは胸に抱えている

 まるで光の花 そうだ 君が好き

 水面に浮かぶ波紋がぶつかり また新しい波紋が広がる

 そんな風に日々は刻々と流れ過ぎ行き 悲しく虚しい 想像を時にはしてしまうんだ

 青 赤 黄色 オレンジ 緑 白 紫 そしてピンク

 舞い上がる光は瞬き 黒を超え君のもとへと 届くかなぁ

 語るような夢や言葉は ほとんど僕は捨ててしまったけれど

 大切なと灯火だけ いつだって一つ胸に抱えている

 光る花のために そうか 君が蕾

 余計な飾りなんて必要ない ただひたすたに単純でいい

 舞い落ちる小さな光のように たとえいずれ消えるとしても

 大げさな夢や言葉は ほとんど僕は持っていないけれど

 あるがまま握り締めた 誇るべき想いは胸に抱えている

 まるで光の花 そうだ 君が好き

 まるで光の花 そうだ 僕は好き

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2008年3月18日 (火)

空ばかり見ていた

 つむじ風の遊歩道 三日月追う靴音

 そっと吐き出す息はまだ白く 空に溶け込んでゆく

 馳せる夢と想いを ひそやかな呟きを

 ちょっと吐き出し星を見つめる 「大層なもんじゃない」

 君は今どうしてるかなぁ 柔く笑っているのかなぁ

 僕は今考えている どうしようもないこと考えてる

 明日にはまた君と共に 肩を並べて笑えますように

 かすかでもそう君と共に ただぬくもりを抱けますように

 想いながら 空ばかり見ていた

 動き出した電車の 灯かりが僕を追い越す

 「きっといつかは」 そんな風に想う 鳴り始めた鼓動

 道を辿り 部屋に戻る 眠りにつき 朝を迎える

 その間考えている 正直に無邪気に考えてる

 明日にはまた君と共に この世界を歩けますように

 願わくばそう君と共に ただぬくもりを創れますように

 想いながら ほら想い続ける

 この声が羽を携え ゆらめき飛ぶ歌に変わって

 彩られた街を抜けて 正しき場所へ届くように

 明日にはまた君と共に 肩を並べて笑えますように

 かすかでもそう君と共に ただぬくもりを抱けますように

 明日にはまた君と共に この世界を歩けますように

 願わくばそう君と共に ただぬくもりを創れますように

 想いながら 空ばかり見ていた

 空ばかり見ていた

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 詩の形式と、文章の形式が同時に浮かび上がることは、誠に珍しい。

 どちらも、大切な存在になりうる気が、する。

 そちらが好きかと問われると、非常に困るものだ。

 思えば、案外僕は空ばかり見ている。

 晴れた日も、雨の日も、朝も、夜も。

 とりわけ夜は、空ばかり見ている。

 大切な何かを考えながら。     circus 

2008年2月12日 (火)

1・2・3

 ワン・ツー・スリー このリズムで君と街を歩いてゆく

 イチ・ニィ・サン 深呼吸して太陽の匂いをかぐ

 見上げる空はやはり青くて 白い雲を指折り数えてみる

 これから巡り合う喜びを 思いながら少しはにかんで

 笑いも涙も夢も 愛も何もかも総てひっくるめて

 僕と君は生きる

 変わり映えしない日々でも どこか何となく二人幸せを

 創りだせるような気がするから

 アン・ドゥ・トロワ 口ずさんで胸の奥から沸き上がるほど

 一人でも君とのこと 想って考えたりして

 抱えた言葉 やけに多くて 選びきれない 伝えきれない

 だから揺るぎの無い喜びを 想いながらこんな歌を唄う

 笑いも涙も夢も 愛も何もかも総てひっくるめて

 僕は君が好きだ

 悲しく苦しい日々さえも きっとどこからか二人幸せを

 見つけ出せるような気がするから

 大層なもんじゃないけど

 そうだ 1・2・3 二人のリズム

 笑いも涙も夢も 愛も何もかも総てひっくるめて

 僕は君と生きる

 笑いも涙も夢も 愛も何もかも総てひっくるめて

 二人幸せを見つけ出せるような

 創りだせるような気がするから

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 数ヶ月ぶりに、歌詞を書いた。貯めていたのとはまた異なるメロディーが見つかって、それがあまりに気持ちよくて、自然とイメージができた。

 相変わらず風景描写だとか、具体描写が少ないけれど、悪くない。

 この歌が気持ちよく唄える日がくれば、素晴らしいなと想う。     circus

2007年9月23日 (日)

一葉

公園前の銀杏並木を 僕は今一人で歩き

少し冷えた風 肌に感じ 深く息を吸い込む

ささやかに響く虫の声と 踏みしめて生まれるハーモニー

何処か切なくて物足りない音が 胸を吹き抜ける

本当は気付いている 忘れようのない煌き

鼓動が加速していく 君の声を求めている

サヨナラも言えないまま 僕の左手はからっぽになった

アリガトウと呟いても 空廻って消えていってしまう

だから歩く あの頃のように

夕暮れ時に駅のホームの ベンチに腰を下ろして

過ぎ行く電車と行き交う人 眺めては目を閉じる

何もないその向こうに 手を振っては涙流して

情けない笑顔映す 君の眼を探してるんだ

サヨナラと言えたならば 僕の心は裂けることもなく

アリガトウと言えたならば 満たされた涙を流せたのだろう

考えてみる どうしようもなくても

クローゼットの奥の引き出し 君の丸文字のダイアリー

めくったページにただ一言……シアワセ

サヨナラと言えなくても 僕は君の声を憶えている

アリガトウと言えなくても 僕は君の笑顔憶えている

いつの日か生まれ変わり また巡り合うことが出来たなら

この心とこの想いを 宙に解き放ち 君の名を呼ぶ

公園前の 銀杏並木で

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 初めに浮かんだイメージは、銀杏並木だった。それは何処か切なくて、もの悲しくて、ひそやかで、でも何か大切な想いが潜んだイメージだった。

 そのイメージを確たる形にするのは、非常に困難だった。けれど結果として、そのイメージは一つの世界になり、一つのストーリーになり、一つの詩になることが出来た。

 素晴らしい曲に、なった。     circus

2007年7月 2日 (月)

声を枯らし君の名を呼ぶ 喉を揺らし唄を歌う

耳を澄まし心の音聴く 波を感じ胸を焦がす

かつて描いた夢の続き 今でもまだ憶えている

ただ確かな違いが生まれ 君が描き足されている

想い昂ぶり涙に変わり 涙堪えて笑みを浮かべる

笑みが募り積もり織り重なり いずれ君に繋がると信じて

―同じ時の中 駆ける君に頬が綻ぶ 

僕はゆっくりと歩を進めて肩を並べる

春も夏も秋も冬もやがて手を取り合い

染み渡るぬくもりは 二人の日常を語る― ニチジョウニカタル

忘れたくない日々や言葉を 失くしたくない時や記憶を

漠然とした不安や恐れを 掻き集めてそして生きていく

―同じ時の中 駆ける君に頬が綻ぶ 

僕はゆっくりと歩を進めて肩を並べる

春も夏も秋も冬もやがて手を取り合い

染み渡るぬくもりは 二人の日常を語る― ニチジョウニカタル

声を枯らし君の名を呼ぶ 喉を揺らし唄を歌う

耳を澄まし心の音聴く 波を感じ胸を焦がす

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 最近はこういうパターンが多い。文章にインスパイアされた詩。今回は「日常」からインスパイアされたものだ。

 分かるようで、分からない。伝わるようで、伝わらない詩になってしまったと思う。でもそれはある意味で言えば、捉える側の解釈に託せる部分が多いということでもある。

 たぶんこの詩も、後々に、とても大切な詩になる予感はする。

 そうなれば、良いと想う。     circus

2007年6月 3日 (日)

動く空を見上げる

強い風が吹く その中で君の眼を見つける

それだけでは不十分と 分かっていたはずなのに

強い風が吹く その中で君の手握り締める

それだけでも僕の心は 満たされてしまうんだ

「いつも いつでも この場所に留まれたなら 楽なもんだろう

けれど けれども 世の中はそれほど単純なもんじゃない」

そっと芝生に寝転んで ずっと動く空を見上げる

そうだ 僕と君は共に生きて きっと幸せに包まれる

淡い光射す 夢のような時が流れゆく

終わりの無い 僕の心は 弾けては飛んでゆく

「いつか いつかは 頷いて総て許せる日も来るだろう

けれど けれども 感情はそれほど綺麗なだけじゃない」

そっと芝生に寝転んで ずっと動く空を見上げる

そうだ 僕と君は共に生きて きっと幸せに包まれる

「今は 今では 複雑な言葉など要りはしないのだろう

けれど けれども 大切な想いは抱きしめてばかりじゃ 意味が無い」

そっと芝生に寝転んで ずっと動く空を見上げる

そうだ 僕と君は共に生きて きっと幸せに包まれる

共に動く空を見上げる 僕らは幸せを創り出す

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 つぎはぎの部分だけ出来ていた詩。そのイメージを保ちながら、言葉を足していった。結果として、「動く空を見上げる」という前に更新した文章と、コンセプトや感情が共通のものとなった。よって、必然的に動く空を見上げるという言葉を、使った。

 詩から文章が喚起されることもあれば、文章から詩が喚起されることもある。けれどそれは、確かに中枢の部分で繋がりが深くとも、完全に同じということはありえない。文章には文章にしか出来ない、持ち得ない力や意味があり、詩には詩にしか出来ない、持ち得ない力や意味があるはずだ。

 今回の詩は、結局のところやはり歌詞である。メロディーが付随した状態でこそ、完成された状態であるとも言える。けれど歌詞という形態だからといって、果たしてそれが詩としての機能や本質が無いかといえば、それは違うと僕は思う。

 あぁ、空が、見たい。     circus

2007年4月 8日 (日)

シュガーポット

簡単なことだろう 僕はそこへ行くよ 君の隣 安らげる場所

イヤになってしまう日も 二人取り巻く空気に 総てを委ねてしまえるんだ

身勝手な感情を 胸に燃やしているけれど

誤魔化しなんて利かない…… 確かに心は彩られているんだ

このまま 何処まで 共に生きてゆける?

理由はいらない 赴くままに

もっと もっと ずっと ずっと 君といたい

もっと もっと ぎゅっと想いを 抱きしめたい

格好良いセリフも 気の利いた理想も 分かり合えば必要ないかもなぁ

暖かいイメージを 繋げてはストーリーを

紡いでは纏めて…… あるいは未来を創ればいいんだ

気付けば いつでも 並んでいられる?

幸せ 希望に 心震わせる

そっと そっと ふっと ふっと 微笑み交わす

そっと そっと 手を取って歩いていたい

答えにならないものを 考え続けているんだ

きっと君と同じ…… 世界を想い描いているんだ

このまま 何処まで 共に生きてゆける

理由はいらない 二人でいい

もっと もっと ずっと ずっと 君といたい

もっと もっと ぎゅっと想いを 抱きしめたい

もっと もっと ずっと ずっと 共にいたい

もっと もっと ぎゅっと想いを 共に抱いて……

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 僕の書く詩には2種類ある。一つは純粋にいわゆる詩であり、もう一つは歌詞だ。想像と創造の空間においては、思いのほか歌詞を書いていることが多い。例えば、今回の『シュガーポット』。

 以前に書いた、『つながり』や『8』もそうだし、『短篇集』も『足跡』もそうだ。ということは、僕はこの空間にはほとんど純粋な詩の方は、書いていないことになる。唯一『円』だけが、そういう存在であると言っていい。

 純粋な詩は好きだ。散文詩であろうが、なんであろうが。ただ、この空間ではあまり更新することがないというだけで。僕は案外、日常的に詩的に文章を捉えてしまうタイプだ。だから逆に言えば、僕の書く文章そのものに、もはや詩のような趣を持たせたいと想いながら書いているような気もする。おそらく、これから先、歌詞でない詩を更新することもあるだろう。

 歌詞と詩はやはり異なる。歌詞は曲と共に存在するものであるから、それが音楽として意味があるとしたら、同じ文章の繰り返しが生じる。世間ではもしかしたら、手抜きで繰り返すと思う人もいるのかもしれない。あるいは、巷で溢れかえる歌詞の多くは―とりわけアイドルは―それもあるだろう。……しかしながら、僕は違う。一度として、手を抜くために繰り返しを用いたことはない。

 そこに繰り返す意味があり、繰り返すよさがあるから、繰り返す。今回もそうだ。

 これだけ抽象的な、その上ストレートに漠然とした言葉ばかりで歌詞を書くのは久しぶりかもしれない。以前、その抽象性から、「もっと変わったことを書けばいいのに」と言われたこともあるけれど、それはいかがなものなのだろう。

 もちろん具体的な何かを出しつつ、それを上手く抽象的な表現として結びつけることは可能だ。それによって、「あぁ、なんて素晴らしい歌詞なのだろう」と想うことだって、ある。ストレートに漠然とした言葉を控えて、小難しくあるいは風情溢れた表現に感動することだって、ある。

 ならば何故これだけストレートで漠然とした抽象的な歌詞を書くのか、と問われれば、「それが好きだからだ」としか言うことは出来ない。出来る限り単純な言葉で、出来る限り誰もが理解できる繋がりで、歌詞を書く。いいじゃないか、と思う。当然、曲との関係性は重要だけれど。

 それはともかく、この『シュガーポット』はつい今しがた書き上げたところだ。メロディーと共に浮かび上がった言葉を多く使った。とても優しく、笑顔が溢れる暖かいメロディーだから、それを崩さないような歌詞になったと思う。

 これは愛の歌だろうか? 分からない。ただ感じられることは、他ならぬ僕自身の大切な想いは含まれているのだろうということだ。現実における「君」が誰なのかは別として。「もっと、ずっと」という単純な想い。

 『シュガーポット』というタイトルは非常に悩んだ。はじめは『未来創造』というタイトルだったし、そのまま『もっと、ずっと』というタイトルを経由したりもした。けれど、様々な隠れた意味も含めて、『シュガーポット』に落ち着いた。隠れた意味に関しては、最近僕自身が気がついた事実が基になっているけれど、それはどうでもいい。

 さぁ、コーヒーを準備しよう。砂糖は使わないけれど、大切な『シュガーポット』と共に。     circus

2007年3月31日 (土)

円。

始まり。終わり。

回るのならば、どちらだって同じこと。

円。

無限。有限。

一方が一方をそれぞれ内包し、自然に独立する。

円。

点。線。

構築物は思想的には存在するが見えない。現実的には存在せずとも見える。

円。

上下。左右。

定義によって成り立ち、普遍の中で崩壊する。

円。

純粋。歪み。

互いが互いの意味を実体化する。それは観念的に。

円。

束縛。自由。

互いが互いの意味を実体化する。それは感覚的に。

円。

偶然。必然。

抗いようのないこと、受け入れるべきこと。

円。

シミリ。メタファー。

そこには総てが無い。そこには総てが在る。

円。

欲望。衝動。

はちきれんばかりの膨張、あるいはある種の象徴。

円。

記憶。経験。

現在は現在を規定しない。過去も現在を規定しない。未来が現在を規定する。

円。

季節。現象。

言葉に出来たなら、素晴らしい。たとえ出来なくとも、素晴らしい。

円。

出口。入口。

右手で宙に大きな円を描く。左手でその先を掴み取る。

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 これは、僕が数年前に書いた、ごく控えめに言ってとても大切な詩だ。今の僕の思考であったり、生き方を大きく左右した詩だ。自分で書いておいておかしい話と、他者は思うかもしれないけれど。

 物事は巡り巡る。その中で、僕自身もいろんな角度を巡り巡る。迷うこともある、惑うことも多い、さらには辛いことも重なるし、時に道も見失う。そんな時、僕はこの詩を思い出し、この詩を実際に試みる。

 右手で宙に大きな円を描く。左手でその先を掴み取る。それを、試みる。

 すると迷いが晴れる。惑いが振り切れる。辛さを乗り越え、道をまた探すことが出来る。

 そんな特殊な意味が、この詩にはある。

 誰に何が伝わるかは分からないけれど、誰かに何かが伝われば良いと思って、ここに書いた。

 そしてまた、不思議な円が繋がれば良いと想う。     circus

2007年3月22日 (木)

短篇集

靴音鳴らす散歩道の途中 ふっと下らぬこと想う

僕らの生きる世界の日々は 終わりの見えないオムニバス

物語は途切れもせず刻み込まれていく 少しずつ厚くなっていく

この小説は 救いが伸びぬ悲劇もあれば 胸を躍らす喜劇もある

でもどんな章にも 無駄な言葉は無い

またそれぞれが 別の道とか夢のようでも 奥底でほら繋がっている

結末は自ずと 出来るから僕は今日もページめくる

主人公はページをめくる僕らで

決していつもヒーローなわけじゃないけれど

次々と傑作の物語描く 誰のものでもない色褪せぬインクで

素晴らしき日々を……

靴音鳴らす散歩道の途中 ふっと大切なこと想う……

この小説は 救いが伸びぬ悲劇もあれば 胸を躍らす喜劇もある

でもどんな章にも 無駄な言葉は無い

またそれぞれが 別の道とか夢のようでも 奥底でほら繋がっている

結末は自ずと 出来るから僕は今日もページめくる

見えるまで僕はずっとページめくる

靴音鳴らす散歩道の途中 ふっと些細なこと想う

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 またしても例の如く、ある種の満足感を『予感』で得てしまったせいで、更新に恐ろしいほどの間が出来てしまった。これから少しの間は、更新頻度を急激に上げてみたいと感じている。

 この詩は、試行錯誤の結果生まれた、いわばカオスの産物である。この詩を書く際に決めていたテーマはあれど、表現の仕方が二転三転し、なおかつ詩によって曲の構成を変えてまで、この状態にたどり着いた。

 書いている間にずっと、僕は自分の人生と、ある人のことを想っていた。ある人とは、特定の一人のようでもあれば、あるいは数人のようでもあった。でもとにかく、その時に想っていたある人は僕の短篇集のページに、なんとしてでも刻み込みたい、そういう人だ。

 僕はペンを持っている。僕はページをめくり、言葉を記す手も持っている。そして何よりも肝心な短篇集は、もとより僕に備わっている。僕はページをめくる。

 今、新たな短篇の序章を、僕は書き出している。それこそ、色褪せぬことなど無いインクで。もしかしたら苦痛の言葉を書き記さねばならないかもしれないし、あるいは喜びと笑いに満ちた言葉を並べることが出来るかもしれない。ただ言えることは、僕は手を止めることはないということだ。たとえそれが、休息の期間であるにせよ、僕はその休息を言葉や抽象において残していく。ページをめくっていく。

 その中で、たくさんの夢と、いくつかの道と、わずかながらも許しあえる人と、僕は表層だけでなく奥底で繋がっていられたら、と想う。そしてその繋がりを記せたら、と想う。

 主人公は紛れもなく、僕だ。でも主人公は中心にいるだけでは、ない。主人公は海の底よりも深く沈んだ位置につくこともあれば、山よりも高い位置にいることもあるだろう。円周の外で中心を見つめることも、運良く中心で周りから支えられることもあるだろう。それでいい。僕は多くの繋がりの中に、確固たる自分自身において身を委ねられたら、それでいい。

 これは逃げの手段ではない。流れに身を委ねるというのは、逃げることにおいては成立たないからだ。僕は僕として、様々な領域に足を踏み入れ、様々な環境に留まろうとし、様々な感情の下で大切なことを見出さねばならない。

 終わりの見えない短篇集にも、終わりはやってくる。結末が見えるまでの時間は、少ないだろう。僕の場合は、たぶん長くない。それを自分が至福と思える結末に出来るかどうかは、やはり僕にかかっている。分かっている。

 だからこそ、この詩を書き上げた。僕だけでなく、僕の周りにいる人々のために。靴音鳴らす、散歩道の途中で。     circus

2007年1月28日 (日)

8

思いっきり窓を開ける 太陽の匂いをかぐ

少し冷えた空気に身を引き締める

イングリッシュマフィンを焼く マンデリン・コーヒーを淹れる

ほら 穏やかな一日が始まる

動物園にサイを見に行こう 水族館のクラゲもいいだろう

あるいはプラネタリウムへ星を…… 

なんて数え浮かべてみる どれが幸せを喚起する

考えて 考えて 導き出した答えは

ただ横に君がいれば それで十分なんだ

過ぎ去ってしまったからこそ 強く想う

目一杯ドーナッツをほおばる ブラウスにアイロンをかける

ああ なんだか胸が苦しく空回る

もう一杯コーヒー淹れるか…… とびっきりのダージリンも悪くない

退屈な時間が過ぎては訪れる

なんて長く感じるんだろう いつかの喜び噛み締める

繰り返し 繰り返し 君の名を呼べば

離れていても僕の声は 届いてくれるかなぁ……

呆れるほどに 幼い歌としても

考えて 考えて 導き出した答えは

ただ横に君がいれば それで十分なんだ ああ

繰り返し 繰り返し 君の名を呼べば

離れていても僕の声は 届いてくれるかなぁ……

きりのない想いばかりが 姿映す

眩いライト スイッチを消す ロータスのキャンドルに火をつける

ほら ひそやかにまた一日が 終わる

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 そこに確かな想いがあるからといって、総てがうまくいくものではない。そんなことは、分かっている。

 そこに揺るがぬ正しさや選択があるからといって、悲しみが安らぐわけではない。それも、分かっている。

 そこにかすかな優しさや温もりがあるからといって、多くを留めておくことは出来ない。当然だろう。

 そこに幾つかの残酷さや痛みがあるからといって、目を背け避けられはしない。そのとおりだ。

 だから僕は、踏み出した。だから僕は、この詩をここに書いた。嘘偽りなく、涙が零れ落ちた。

 僕は打ちひしがれている。僕は声を枯らしている。僕は何かを求めている。

 今日だけ、今日一日だけ、弱さを剥きだしにする。

 明日からは、また世界に歩き出せることを、信じて。     circus

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