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2008年3月 5日 (水)

不思議な夢というものは、案外覚えていないものだ。

たとえば、出だしのあるワンシーンや、最後の締めくくりは覚えていても、一体何が不思議だったのか、肝心なところは忘れていることがよくある。

けれど、僕たちは現実の中で、何とかその不思議な夢を思い出そうとする。そして思い出す。が、そうして出てきた不思議な夢は、たいてい現実から見た、不思議な「作り話」になってしまう。実際に見た夢とは、かけ離れていく。

僕は今日、不思議な夢を見た。そして、珍しく僕はその夢を完全に掴まえている。作り話などではなく、完全にありのままを記憶している。

夢の始まりは僕の家の扉だった。なんだか、外に飛び出さなくてはならないような圧迫感を感じたので、僕は潔く扉を開け、足を踏み出した。

すると、そこはだだっ広い丘だった。家から出ただけのはずなのに、見知らぬ土地に来ている。僕は驚愕のあまり後ろを振り向いたが、そこには出てきたはずの扉は無く、ただ丘が続いているだけだった。

丘は二つの点を除けば、単なる丘だった。ひとつは、何も動いていないこと。草も風も、空も雲も、あるいは太陽の光さえ動いていなかった。僕だけがゆっくりと歩いていた。

そしてもうひとつ、大きな穴が丘のてっぺんにあったこと。覗き込むと、先は目がくらむほどの闇で、何処まで続いているのか想像もつかないくらいだった。

僕は、どうしようもなくその穴に魅かれた。穴に落ちてみたくなった。穴の先を知りたくなった。だから、目を瞑り、一気に飛び込んだ。

何時間落ちたのかわからないが、なにやらやわらかい感触が足に感じられたので、目を開けた。……雲の上だった。

雲の上に立つなど、漫画みたいな話だが、確かにそこは雲の上だった。雲はふわふわとしっとりとしていたが、一方でとてもがっしりとしていた。とりあえず食べてみもしたが、味は特に無かった。

雲の上には、雲しかなかった。右も左も、前も後ろも、雲しかなかった。とても心地がいい場所だった。温度も湿度も、すべてが完璧なように思われた。しかしなんとなく、不完全な完璧さを僕は感じていた。少し疲れていた僕は、ごろんと寝転んだ。

はしごが見えた。

モクモクとしているから形がわかりづらかったが、僕の頭上にはしごが見えた。正直、どうでもよかった。はしごなんて興味もないし、ましてや昇ってみたくもなかったし、何より、僕はまだ寝転んでいたかった。しかし体はそれを許さなかった。

勝手に足が動き回り、手がはしごを握り締めていた。僕は諦めてはしごを昇った。ずっとずっと、雲がかすむまで昇った。

はしごが途切れたところは、トウキョウの大通りのマンホールだった。もう一度下を見たが、そこにはもう雲は陰も無かった。こうしていても意味が無いので、マンホールを出た。

その瞬間、目の前からとてつもないスピードで車が突進してきた。僕はぶつかると思い、ふいに若い死を覚悟した。

しかし、車はぶつからなかった。いや正確に言うと、車は僕を通り抜けた。僕には一切衝撃は無く、車も平然としていた。

次の車も、そのまた次の車も同じだった。まるで僕がそこに存在していないかのように、通り抜けていった。嫌な気はしなかった。けれど気持ちが良いものでもなかった。混乱と云う表現が、もっとも適切なようにも思われた。僕はとにかく落ち着こうと、何処か休めるところを探した。

僕は寂れた喫茶店を見つけた。少々ためらいはしたが、他にめぼしい場所が見当たらなかったので、観念して入ることに決めた。

扉は自動ドアになっているはずなのに、ドアの前に立っても開く様子は微塵も無かった。自動でない自動ドアは、やたらに重かった。やっとのことでドアを開けた。

ドアが開いた向こうに見覚えのある部屋が見えた。そしてそこにはよく知っている後姿があった。

僕だった。そこは僕の部屋だった。そして、まさに僕がドアを通ると同時に、目の前の僕は、家の扉から外へ出て行った。

そこで、目が覚めた。夢の中ではこれらはとても不思議に感じた。ところが、今考えると、夢のすべてを覚えてはいたが、ならば何処が現実に不思議かと言われると、今の僕は、全くもって閉口してしまう。

僕は今、回目の雲の上に立っている

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 うーん、文章が若い。随分若い学生のころに書いた文章が、出てきた。今思えば、同じ題材で同じ流れで文章を書いたとしても、こうはならない。

 今と昔。どちらが優れているとはいえないけれど、妙に恥ずかしい気分になるのはいたし方がないのだろうか。

 若い。     circus

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コメント

TARI☆TARIをよく拝見していたものです。メールでお聞きしようと思ったのですが、うまく送れないのでこちらで失礼します。

circusさんは以前、お兄さんから頂いた生地でシャツを仕立てられましたが、お勧めの仕立て屋があれば教えていただけませんか?私は先日伊勢丹でオーダーしたのですが、あまりいい評判を聞かず、悩んでいます。
よろしくお願い致します。

>toshiさん
メール、ダメですか。なんかトラブルかなぁ。

あのシャツ生地は、まさに伊勢丹での仕立券つきだったので、伊勢丹なんですよ。
正直、仕立てやその状態だけを取ると、伊勢丹は素晴らしいとは言えませんね。
東京シャツに依頼をしているみたいなので、仕上げ自体は悪くないですが……タバコのにおいがしたり、なんだか。

ホテルニューオータニだったか、帝国ホテルだったかの中に入っているシャツ屋さんの仕立てが良いとか、なんとか。
実際にしたこと無いので、分かりませんが。

僕が思うに、たぶん仕立ての巧さうんぬんだけでいくと(個人テーラーは除いて)、そういうホテル系か、あるいは日本橋三越や高島屋の中のオーダーサロンが、なんだかんだで巧いんだと勝手に思っています。

三越や高島屋に関しては、日本橋本店だけはやはり特別ですし、おそらく依頼をする工房もしっかりとした日本の老舗をつかっているでしょうし。

具体的な名称をあげてここが良いと言えなくて、すいません。
モリカゲシャツとかも良いんですが、なんかとりわけ巧いっていう感じじゃないですし。

僕は評判とかはともかく、伊勢丹も悪くはないと思います。あとはその設定次第ですよね。

採寸はともかく、デザインとして創る側はある程度の型にはめようとしてきますから。
きっちり自分のビジョンがあると良いと思います。

襟の形や大きさ、固さ。各所の丈の長さ、切り方、ガジェットの有無。カフの大きさ、形、固さ。
身頃のサイズ感、タックの入れ方、絞り方。
ボタンの厚さ、材質、大きさ。
フルオーダーでいけばさらに、ステッチの糸や入れ方。
そしてもちろん、生地の種類や質。

それぞれに自分はこういうシャツが着たいというビジョンがあれば、どこであれある程度満足できるシャツが出来るかと。

長くなりましたが、ご参考になれば。
まずは近場で伊勢丹で作るってのは、手だと思いますよ。それでオーダーの感覚を掴むという意味でも。

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