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2008年3月18日 (火)

空ばかり見ていた

 つむじ風の遊歩道 三日月追う靴音

 そっと吐き出す息はまだ白く 空に溶け込んでゆく

 馳せる夢と想いを ひそやかな呟きを

 ちょっと吐き出し星を見つめる 「大層なもんじゃない」

 君は今どうしてるかなぁ 柔く笑っているのかなぁ

 僕は今考えている どうしようもないこと考えてる

 明日にはまた君と共に 肩を並べて笑えますように

 かすかでもそう君と共に ただぬくもりを抱けますように

 想いながら 空ばかり見ていた

 動き出した電車の 灯かりが僕を追い越す

 「きっといつかは」 そんな風に想う 鳴り始めた鼓動

 道を辿り 部屋に戻る 眠りにつき 朝を迎える

 その間考えている 正直に無邪気に考えてる

 明日にはまた君と共に この世界を歩けますように

 願わくばそう君と共に ただぬくもりを創れますように

 想いながら ほら想い続ける

 この声が羽を携え ゆらめき飛ぶ歌に変わって

 彩られた街を抜けて 正しき場所へ届くように

 明日にはまた君と共に 肩を並べて笑えますように

 かすかでもそう君と共に ただぬくもりを抱けますように

 明日にはまた君と共に この世界を歩けますように

 願わくばそう君と共に ただぬくもりを創れますように

 想いながら 空ばかり見ていた

 空ばかり見ていた

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 詩の形式と、文章の形式が同時に浮かび上がることは、誠に珍しい。

 どちらも、大切な存在になりうる気が、する。

 そちらが好きかと問われると、非常に困るものだ。

 思えば、案外僕は空ばかり見ている。

 晴れた日も、雨の日も、朝も、夜も。

 とりわけ夜は、空ばかり見ている。

 大切な何かを考えながら。     circus 

2008年3月 5日 (水)

不思議な夢というものは、案外覚えていないものだ。

たとえば、出だしのあるワンシーンや、最後の締めくくりは覚えていても、一体何が不思議だったのか、肝心なところは忘れていることがよくある。

けれど、僕たちは現実の中で、何とかその不思議な夢を思い出そうとする。そして思い出す。が、そうして出てきた不思議な夢は、たいてい現実から見た、不思議な「作り話」になってしまう。実際に見た夢とは、かけ離れていく。

僕は今日、不思議な夢を見た。そして、珍しく僕はその夢を完全に掴まえている。作り話などではなく、完全にありのままを記憶している。

夢の始まりは僕の家の扉だった。なんだか、外に飛び出さなくてはならないような圧迫感を感じたので、僕は潔く扉を開け、足を踏み出した。

すると、そこはだだっ広い丘だった。家から出ただけのはずなのに、見知らぬ土地に来ている。僕は驚愕のあまり後ろを振り向いたが、そこには出てきたはずの扉は無く、ただ丘が続いているだけだった。

丘は二つの点を除けば、単なる丘だった。ひとつは、何も動いていないこと。草も風も、空も雲も、あるいは太陽の光さえ動いていなかった。僕だけがゆっくりと歩いていた。

そしてもうひとつ、大きな穴が丘のてっぺんにあったこと。覗き込むと、先は目がくらむほどの闇で、何処まで続いているのか想像もつかないくらいだった。

僕は、どうしようもなくその穴に魅かれた。穴に落ちてみたくなった。穴の先を知りたくなった。だから、目を瞑り、一気に飛び込んだ。

何時間落ちたのかわからないが、なにやらやわらかい感触が足に感じられたので、目を開けた。……雲の上だった。

雲の上に立つなど、漫画みたいな話だが、確かにそこは雲の上だった。雲はふわふわとしっとりとしていたが、一方でとてもがっしりとしていた。とりあえず食べてみもしたが、味は特に無かった。

雲の上には、雲しかなかった。右も左も、前も後ろも、雲しかなかった。とても心地がいい場所だった。温度も湿度も、すべてが完璧なように思われた。しかしなんとなく、不完全な完璧さを僕は感じていた。少し疲れていた僕は、ごろんと寝転んだ。

はしごが見えた。

モクモクとしているから形がわかりづらかったが、僕の頭上にはしごが見えた。正直、どうでもよかった。はしごなんて興味もないし、ましてや昇ってみたくもなかったし、何より、僕はまだ寝転んでいたかった。しかし体はそれを許さなかった。

勝手に足が動き回り、手がはしごを握り締めていた。僕は諦めてはしごを昇った。ずっとずっと、雲がかすむまで昇った。

はしごが途切れたところは、トウキョウの大通りのマンホールだった。もう一度下を見たが、そこにはもう雲は陰も無かった。こうしていても意味が無いので、マンホールを出た。

その瞬間、目の前からとてつもないスピードで車が突進してきた。僕はぶつかると思い、ふいに若い死を覚悟した。

しかし、車はぶつからなかった。いや正確に言うと、車は僕を通り抜けた。僕には一切衝撃は無く、車も平然としていた。

次の車も、そのまた次の車も同じだった。まるで僕がそこに存在していないかのように、通り抜けていった。嫌な気はしなかった。けれど気持ちが良いものでもなかった。混乱と云う表現が、もっとも適切なようにも思われた。僕はとにかく落ち着こうと、何処か休めるところを探した。

僕は寂れた喫茶店を見つけた。少々ためらいはしたが、他にめぼしい場所が見当たらなかったので、観念して入ることに決めた。

扉は自動ドアになっているはずなのに、ドアの前に立っても開く様子は微塵も無かった。自動でない自動ドアは、やたらに重かった。やっとのことでドアを開けた。

ドアが開いた向こうに見覚えのある部屋が見えた。そしてそこにはよく知っている後姿があった。

僕だった。そこは僕の部屋だった。そして、まさに僕がドアを通ると同時に、目の前の僕は、家の扉から外へ出て行った。

そこで、目が覚めた。夢の中ではこれらはとても不思議に感じた。ところが、今考えると、夢のすべてを覚えてはいたが、ならば何処が現実に不思議かと言われると、今の僕は、全くもって閉口してしまう。

僕は今、回目の雲の上に立っている

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 うーん、文章が若い。随分若い学生のころに書いた文章が、出てきた。今思えば、同じ題材で同じ流れで文章を書いたとしても、こうはならない。

 今と昔。どちらが優れているとはいえないけれど、妙に恥ずかしい気分になるのはいたし方がないのだろうか。

 若い。     circus

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